カンボジア・タイムズ

カンボジア×哲学

NGO・NPOを批判的に考えてみる。―NPO職員からの反NPO論―

学生時代から現在に至るまでずーっとNGONPO界に身を置いてきました。

NGONPOが自分の考えに合っているからそうしているのですが、一方でNGONPOという組織形態にも限界や問題点があります。

 

NGONPOに対し否定的な意見を持つ人も少なくありません。批判されている事柄ももっともだなと思う部分が多いです。

 

そこで、今回はNGONPOが批判を受けていることがらについて考えていきます。

 

  

そもそもNGONPOって何?

よく聞く言葉だけど、そもそも何なのかよくわかんない言葉。

名前が似てるし違いがわからない言葉。

 

それがNGONPO

 

まず、二つの用語を説明することにしましょう。

 

NGONon Goverment Organization(非政府組織)の略。国際会議の中で、国家の連合体である国連に対し「自分たちは特定の国家(政府)とは関係のない組織である」ということを示すために使われたのがはじまりです。だから「非政府」組織なのです。

ちなみに、NGOは名乗りたければ誰でも名乗ることができます。

 

NPONon Profit Organization(非営利組織)の略。この「非営利」を勘違いする方が多いのですが、ここでいう「非営利」は「お金稼ぎをしてはいけない」という意味ではありません。(お金稼ぎをしないと組織が存続できない。)また「給料を職員に払ってはいけない」という意味でもありません。(給料を払わないと職員は生活できない。)

会社は株式を発行し、株主になってくれた人に対して配当金や優待を与えることができます。しかし、NPOはそれが禁止されているのです。

「稼いだお金を会員と山分けしてはいけない。」(あと職員に賞与を与えてはいけない)

そういう意味で「非営利」なのです。

ちなみに、NGOと違ってNPOは誰でも名乗ることはできません。法律によって定められた規則(年に一回総会を開かないといけないとか、年次計画書や財務諸表を行政に提出しないといけないとか)をクリアした組織に与えられる「法人」なのです。

 

だから、よく「NGOは国際的な組織」で「NPOは国内で活動する組織」って考える方がいますが、それは半分あってて半分違うことになります。

 

NGOを名乗る団体はほぼ確実に国外に活動地を持っています。

そうでなければ「非政府」を名乗る意味がないからです。

だから、「NGOは国際的な組織だ」という意見は当たっているでしょう。

 

一方でNPOだから国内で活動しているとは限りません。NPOという法人格を持っているかどうかを表しているだけなので、NPOでも国外に活動している組織はたくさんあります。

 

また、NGONPOを両方名乗っているところも多いです。というか、「非営利」な体制を取ってて国外で活動している団体の多くは両方名乗っていると思います。

 

もちろん、上記で示した違いは定義上の違いであって、一般的な認識レベルでは「ほとんど同じもの」として扱っていいと思っています。

 

それでは、いよいよNGONPOの批判的論考に移っていくことにしましょう。

 

 

批判1:NPOの活動は持続しにくい。

これはよく言われる批判で、僕自身も感じていることです。

NGONPOは基本的に「社会的弱者」と呼ばれる層を対象に支援活動を行います。

だから、彼らからお金を取ることはできない。

代わりに先進国に住む「支援者」や「会員」と呼ばれる人たちから会費や寄付を募ってそれを運営資金にするのです。

 

月に一回、定期的に集められる会費が一番持続性があります。だから会員が多くて会費で十分運営資金を賄える団体は安定しています。

ただ、会費を出す側から考えれば、定期的に出費があるわけで、そうすると「会員ってハードルが高い」ってなるわけです。だから会員を集めるのは大変なのです。

 

一方で寄付は一回お金を出せばいいのでハードルも低い。だけど、瞬間的に集まるだけなので、寄付金を使い切ってしまうと一気に窮地に陥ってしまいます。

 

(ちなみに、助成金っていうボーナスがあるけど、これをゲットするのは厳しい競争を勝ち抜かなければならない。)

 

NGONPOの多くは寄付金に依存しているのが現状です。

だからお金に困窮しやすい。お金が少なくなってくると、プロジェクト途中であってもプロジェクトの縮小・中止という選択を取らざるを得ないのです。

 

それが、「NGONPOの活動に持続性がない」と言われる理由なのです。

 

 

批判2:NPOの活動は対等じゃない。

ビジネスだったら「売る側」と「買う側」に分かれます。

そこにはなんら権力関係はありません。

「お金」という対価があるので対等でいられるのです。

 

一方でNGOなどが行う「支援活動」はどうでしょう。

そこには「支援する側」と「支援される側」が存在することになります。

もちろん、「支援する側」は一方的な関係にならないように最大限に心を砕きます。

 

けれど、それでも「完全に対等」になれるかというとかなり難しいです。

 

批判3:NPOの活動は本質的じゃない

この批判もよく耳にします。

 

この間お会いした方もNGONPOの活動に批判的でした。

彼はこう言っていました。

 

この世界に起こっている問題のほとんどは貧困が原因だ。ビジネスだったら、自分の会社で雇用し、彼らに賃金を払うことができる。だけどNGONPOの活動の多くはここに直接アプローチできないじゃないか。もちろん、彼らの支援活動を全否定しているわけじゃない。だけど、どこか本質的じゃない気がするんだよね。あくまで応急処置に過ぎないというか。

 

この批判にも十分向き合っていかなくてはいけないですね。

 

 

NGONPOの存在は無意味なのか?

ここまで聞くと、じゃあNGONPOに価値ないじゃん!って思われる方もいるかもしれません。

 

僕は、それでも現状を踏まえるとNGONPOはまだ必要なのかなと思っています。

その理由は一つ。

 

最も支援が届かない人々にまで支援を届けられるのはNGONPOしかないと思っているから。

 

ビジネスでは、雇用するにしても、何かを売るにしても、どうしても「条件」が必要になってきます。

何かを売る場合は、やはり支払い能力がない層には何も売れません。

雇用する場合も、何も能力がなければ難しいです。

 

例えば、プノンペンの路上でよく見かけるような、「肢体と精神に障害があるホームレスの人」はビジネスではどうしても「対象外」になってしまいがちなのです。

 

国際機関のような大きい組織でも、個別に行動していることが多い彼らは支援の網から零れてしまいがちなのです。

 

そうした方々に対してまで、支援の手を伸ばすことができるのはNGONPOだと思っているし、それがNGONPOの存在意義なのだとも思っています。

 

 

最後に

最終的には、NGONPOの仕事はなくなることが理想です。

NGONPOは問題があるから存在している組織なので。

 

いつか、NGONPOが無くなるその日を目指して。

 

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